1LDK叙事詩

続ける事を目標としているので、内容については一貫性がありません。

祝福、夜を通る

横浜駅構内には、終点で吐き出された人々のため息と二酸化炭素

 

 

2024年を迎えた午前1時、外に出た僕らを待っていたのは、死骸となった渋谷だった。

ゴミ、吐瀉物、人混み、吐瀉物ゴミ人混み、人人人…

お祝いムードの妻の表情が、みるみると曇ってゆく。家を出る段階で若干の空腹感があったので、どこかで腹ごしらえしたいね、と二人で言っていたがセンター街の方は近寄れる雰囲気ではなかった。

海外の人だらけでもはや「ここ日本か?」って思いながら通り過ぎた。屯する人々と転がる空き缶、ケバブ屋の行列(こんなに渋谷にあったのか?)、ケバブのゴミ、ビン、吐瀉物、満員のラーメン屋。

お酒を飲んでいたので、身体がラーメンを欲していたが、どこも満員だし、いつ店内が荒れるかわかったものでは無い喧騒。

2018年の渋谷に辿り着いた時も確かこんな感じで、至る所で馬鹿騒ぎだった。

並行世界に迷い込んだのかと本気で思ったものだ。

新年最初の食事なので何か特別な物を〜と考えていたが渋谷の惨状を目の当たりにしたのでとりあえず温かいものを、ということで少し歩いてすき家に入った。

 

最近の店舗は券売機で買ってからではなく、テーブルにあるタブレットで注文する、というのを知った。混雑回避の為だろうか…?

周りの客は皆、海外の人だった。

もしかすると渋谷に良く似たパラレルワールドの別の国かもしれないな、と思いながら食べる3種のチーズ牛丼はいつも通りの美味しさだった。

 

とにかく早く、ここから帰りたい、と強く思った。

思いだけでは帰宅出来ない事を知っているが。